深夜にけたたましく鳴るラインの電話。。おじいさんの具合が悪いのでまさか危篤になったのか？と思いきや、

電話の主はイギリスにいる大学生の息子からでした。向こうは夕方。

なーんだ。お前か。でも電話の声は必死です。

「ピーラーで指を削いでしまって、血が止まらないのだけど！」「爪も削いでなくなってしまったんだけど！」

料理中のことのようでした。シチューでも作ってたのかな。本人も相当慌てていたようで、妻が冷静に対応。

いろいろ話をして５分ほどで電話は切れました。

当院でもピーラーで指を削いでしまって駆け込んでくる方が年に数名ほどいらっしゃいます。

刃物で皮膚を薄く削ぐと毛細血管がたくさん切れるので出血が多めです。

では何をしたら良いかというと、まず止血です。簡単にいうとガーゼ等で押さえるだけです。

やってはいけないことは血が止まったかな、とすぐに傷口を確認しに行くこと。

ガーゼなどの押さえを取り外すとすぐまた出血するので一からやり直し。何度も見にいくとやっぱり血が止まらなくてだんだん不安になってきます。

ですから一旦止血のためにガーゼなどで押さえたら次の日までは決して開けないことです。でも指が紫色になるまで押さえてはいけません。

翌日になったらちゃんと止血されているはずです。

止血後、病院ですとハイドロコロイドという創傷被覆材を貼り付けます。ご自身ですとキズパワーパッドを購入されるとよろしいかと思います。

ハイドロコロイドを使用しますと傷の深さにもよりますがおそらく10日前後で治るかと思います。

傷を確認したときに皮膚の下の組織、黄色い脂肪組織が見えているような場合は直ちに病院を受診しましょう。

以上、ピーラーで指を削いでしまった時の対処法でした。