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院長ブログ

2024.10.03

脇汗の治療

学会/講演会

アクアチムは黄色ブドウ球菌属に有効な薬剤のため、臭いの軽減にも有効である可能性が高い

コリネバクテリウム属は3M3SHへの変換能力が低く、むしろ黄色ブドウ球菌属のいくつかの菌腫の方が3M3SHへの変換能力が高い コリネバクテリウム属ではなく黄色ブドウ球菌属の方が悪臭に強く関与していた

プロ向け投稿。
講演から。

従来、脇の臭いや足の臭いにはコリネバクテリウム属が強く関与していると考えられていました。

臨床的にはアクアチムクリーム外用が脇や足の臭いの軽減に著効いたします。ところがアクアチムが持つ抗菌スペクトラムではコリネバクテリウム属にはあまり効きません。

なのに何故効くのだろうと常々思っていましたが、今回講演を機にたくさんの論文を読んでいくうちに面白い事実を見つけました。

悪臭物質の一種、チオアルコールの3-メチル-3-スルファニルヘキサン-1-オール(3M3SH)は、アポクリン汗腺由来のシス-グリシル-3-メチル-3-メルカプトプロピオン酸(Cys-Gly-3M3SH)が皮膚細菌によって分解されることで生成される物質です。

ある研究結果によりますと、コリネバクテリウム属は3M3SHへの変換能力が低く、むしろ黄色ブドウ球菌属のいくつかの菌腫の方が3M3SHへの変換能力が高いことがわかりました。つまりコリネバクテリウム属ではなく黄色ブドウ球菌属の方が悪臭に強く関与していたのです。

ここから推測されることは、アクアチムは黄色ブドウ球菌属に有効な薬剤のため、臭いの軽減にも有効である可能性が高いということです。

なるほどですね。

脇の臭いはエクロックゲルかラピフォートで汗を抑えつつ、アクアチムクリーム外用を併用するとよく治ります。
軟膏じゃなくてクリームですよ。

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