院長ブログ
2022.09.07
アトピー性皮膚炎
デュピクセント
脱ステロイド?どんなひどいアトピーでも僕らは治せる。
昨日はまだコロナの影響でスタッフが少なく、大変な外来でした。
最近では珍しく二人の重症アトピーの患者さんが来られました。重症例は当院では珍しいことではありませんが、昨日の重症例は2人ともいわゆる「脱ステロイド」を行なっている方でした。
脱ステロイド療法では炎症を起こしている皮膚に対し外用剤を使わずひたすら保湿のみで放置するわけですが、これは一種の荒治療。皮膚の炎症が極限まで悪くなると人間の体は「命の危険」を感じて副腎からステロイドホルモンを大量に放出します。ほぼ死ぬ間際と同じ状況が作り出されると、体からは悲鳴にも似た断末魔のステロイドホルモンが放出されるというわけです。その結果、皮膚はまるでステロイドをがっつり塗ったかのように「一瞬」改善したようになります。もちろん死ぬ間際の緊急事態のホルモン動態ですから長続きするわけもなく、その効果はホルモン放出がある程度済むと終わります。
つまり、脱ステロイドは長続きしないよ、と言う話です。
それはさておき。
僕のクリニックの特性上、あまり長い時間お話を聞くことができませんが、短い時間ながらその2人の辛い半生を聞きました。なぜ脱ステロイドに走ったか。なぜ標準治療をやらないのか。
残念ながら今から4年と少し前までは超のつく重症アトピーを改善に導くお薬はありませんでした。14年より前はもっとなかった。前にもアトピー治療の歴史を書きましたが、14年より前はステロイド外用剤と痒み止めの抗ヒスタミン薬だけ。前にも書きましたがアトピーの痒みには抗ヒスタミン薬は効きません。つまりステロイド外用だけでなんとかしろっていう世界でした。今を思えば絶対治るはずがない。風車に立ち向かうドンキホーテ。
14年前にシクロスポリンが適応になってからある一定の割合で重症例の方は改善できるようになりましたが、あと残り数%の方がどうしても改善しない。そして4年と少し前にデュピクセントが発売されてからやっと、本当にやっと重症例のほとんどの方を救済できるようになりました。
重症例の治療にはシクロスポリンにしろ、デュピクセントにしろそれなりにノウハウのいるお薬です。
では町の開業医さんではそういう治療をみんなやっているのか?
答えは「いいえ」です。
アトピーの患者さんは全国くまなくいます。だけど重症例をきっちり治せるお医者さんが全国にくまなくいるかというと、そうではありません。
昨日来た重症のアトピーの患者さん達は皆近所のお医者さんに通院していたそうです。
でもいつも同じお薬を黙って処方されるだけ。
一向に治らない。良くなった感じがしない。
いつまでやったらいいのだろう?
ステロイドが悪いっていう話も聞くし。皮膚はなんだか変わってしまった感じもするし。
ステロイドを塗ってても治らないってことはやっぱりステロイドが悪いのかな。
ステロイドをやめてみようかな。誰かがステロイドをやめたら良くなった、って書いてるし。
いっそのこと治療をやめてみよう。
で今ここ。脱ステの結果は大体これです。
この時点では相当医者不信に陥っています。昨日の人達もそんな感じ。
こちらの話の半分も信用していない感じです。
どうせこいつもステロイド出すんやろ、いつもと同じやろ。てな雰囲気でしょうか。
仕方ないですよね。今まで散々裏切られてきたんですもの。
さてこの状態、もっと我慢したら治るのでしょうか?いやいや。
脱ステ効果は先に書いたように命の危機に瀕して一瞬良くなったものと考えられますから長続きはしません。
その一瞬の改善をもう一度、と思いたい気持ちはわかりますが、再度死ぬ寸前まで追い込まないと体験できません。→マジで死ぬで。やめとき。
そこで今までのお医者さんがやってこなかったであろう外用指導を「きちんと」イチからやり直すと、
1ヶ月後。つるつるになりました。
嘘のような本当の写真です。本物見せてあげましょうか?
ただし、こんなにうまくいく人はもちろん全員ではありません。外用だけじゃ絶対無理、と言う方は大勢いらっしゃいます。
アトピーの患者さんの一部がステロイド外用剤を嫌いなものわからなくはありません。
僕はおそらく愛知県で最も大量のステロイド外用剤を処方する医者の1人だと自負していますが、ステロイド外用剤の年単位の長期外用ではやっぱり皮膚の変性があります。
とある偉い元教授先生は「日本人はステロイド塗らなさすぎるんじゃ〜。もっと塗らんか〜。海外ではね〜チューブはもっと大きくてね〜」なんていつも吠えています。
ま、それはわかる。ちゃんと塗ってない人がほとんどだと言うことも知ってる。ついでにちゃんと塗ることを教えていない医者もたくさんいることも知ってる。
しかしね、大量に年単位でステロイドを塗るとやはり皮膚も変わっちゃう。
皮膚が薄くなるし、血管拡張も出るし、汗も減るし。そりゃ僕もわかってます。わかってても今のところ使うしかないのです。
それはステロイド外用以外有効な方法がないから。
非ステロイド外用剤も最近は充実してきましたがそちらはまだ効果が弱すぎて重症には使い物にならんのです。
他に方法ないんですよ。
まだ科学がそこまで達していないから。
四年前のデュピクセントの登場はすごかった。ステロイド外用剤がいらなくなる人が9割くらいですから。痒みは止まるし、ぶつぶつなくなるしステロイドいらなくなるしで皮膚はどんどんよくなっていきます。ステロイドが必要なくなっていくのでステロイドの持つ特有のマイナス面も出なくなりますからそりゃあ綺麗な皮膚になります。
昨日来た脱ステ患者さんには今の時代ではどんなに重症でも僕の腕と同じくらいツルツルにしてあげられる、というようなことを説明しました。
もちろんそれにはデュピクセントを基本使います。
ただし。
デュピクセントを導入するには「標準のステロイド外用剤治療」を6ヶ月以上続ける必要があります。
超上から目線で書くと「半年間、僕の言うことをちゃんと全部聞けたらデュピクセントをやってあげれます」です。
こいつ何を偉そうに、ではなく、それが保険を使って治療する条件だから。仕方ない。国が決めてる。
お国の言うことを聞けない人は保険を使わなかったら良いだけの話です。簡単。明日からでもすぐにデュピクセントが開始できます。
デュピクセントは1本58,593円。そこに自費治療だと消費税が乗るから64,452円。これはほとんど仕入れ値と同じ価格ですのでそこにうちの儲けも乗せるから。。これ2週間に一度打ちます。保険使わないと無理ですよね。普通。
元の話に戻します。
脱ステの元凶ははっきり言って医者不信、医療不信。
医者のやる気と治療アイテム不足が原因です。
誰しもが簡単に治る方法がずっと前からあってどこの病院でも簡単に手に入っていたならこうはならなかったはず。
でも今はあるんです。
脱ステの人たち、医者をそんな眼でにらむのはやめてもう一度素直になってみないですかねえ。
そうしたら美しい未来が待っているんですよ。綺麗でツルツルで痒みがない世界。
信じるか信じないかはあなた次第です。
私は教祖ではありませんが皆を導くノウハウは山ほど持っているつもりです。
信じてみたくなったらご相談にどうぞ。
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