院長ブログ
2022.09.01
診療室から
オーストラリアでインフルエンザ激増中。
少々見にくいですが、オーストラリアでインフルエンザが急増している、というグラフです。(赤線。グラフは5月)
ここ二年ほど、海外からの人が行き来しなかったため、インフルエンザの世界的流行は抑えられてきました。
ところがだんだん海外との往来が自由になってきました。そうしますとインフルエンザがまた流行し出します。
日本のインフルエンザは南半球からやってきます。
冒頭の、オーストラリアでインフルエンザが流行している、とのニュースですが、これを聞いて冬が恐ろしくなってきました。オーストラリアにインフルエンザが多いときは必ず日本でインフルエンザが流行するからです。
冬季、日本では多い時で1シーズン約1000万人がインフルエンザに罹患します。その期間は大体12月から3月。たった4ヶ月で1000万人ですから、1月あたり250万人が感染する計算になります。今はコロナ感染者がピークですが、1日あたり15万人から25万人が罹患、1月あたりでは仮に1日20万人として600万人です。
この冬もしもインフルエンザとコロナが同時に感染拡大したら?コロナがもしもこのまま感染力を保ったとすると、
どちらも発熱疾患ですから、発熱外来にはインフルエンザ+コロナの患者さんが殺到することになります。
現在のコロナ感染だけでも発熱外来はパンク状態なのにそこにインフルエンザの患者も殺到したらまず医療崩壊を起こすと思われます。
一般的なクリニックでは、隔離部屋があったり外テントで診察するスペースが設営できたりと、よほどの対策が取れない限りコロナ疑いの発熱の患者は診れません。なぜなら健常な方とコロナ患者さんが外来等で混在してはまずいからです。
インフルエンザ疑いの発熱患者さんはコロナの疑いもあるわけですから、体制が整っていない近所のかかりつけクリニックに行くことはできず発熱外来に行くしかありません。そうすると特定の施設は混雑し、全員の検査もままならず、検査治療難民で溢れかえることになりかねません。
そうしないためにはインフルエンザのシーズンを迎える前に一般の病院でも広くコロナを診れるようにしないといけませんが、まだ日本ではコロナは2類指定すら外していませんので一般クリニックで発熱患者を診れるようになるにはまだまだハードルが高そうです。
最近のコロナ対策は科学的根拠よりも国民の顔色を見ながら方針を決めるという政治案件になってしまっているので今冬がどうなるのか心配です。
専門家会議は単なるご意見番であって何の権力も無くなっていますし。誰がどう判断するのだか。
決められない日本の悪いところが今冬には出てきそうで怖いです。
いずれにせよ早く終息することを願います。
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