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院長ブログ

2022.08.10

診療室から

鼻の横がカサカサする。鼻の横が痒い。鼻の横が赤い。鼻の下が赤い。脂漏性皮膚炎と考えて治療すると治りません。

鼻の横がカサカサする。鼻の横が痒い。鼻の横が赤い。鼻の下が赤い。

 

色々と相談内容はありますが、当院では「鼻の下が赤い」以外の上記の症状はほとんど同じものと考えています。

 

鼻の横のカサカサや鼻の横の痒みには大体どこでも弱めのステロイドが処方されるのですが、実はこれは治らない元です。

 

痒いとかカサカサしていると湿疹の一種と考える先生が多いですね。だからよくステロイドが処方されます。あるいは鼻の横は皮脂が多いので皮脂+カサカサ=脂漏性皮膚炎と考える先生もいます。従って脂漏性皮膚炎の定番である抗真菌剤(ニゾラールなど)が出されることも多いです。

 

僕も昔は鼻の横のカサカサはみんなと同じように脂漏性皮膚炎と考えていました。でもなかなかスッキリ良くならない。

 

さて、当院は口囲皮膚炎(酒さの一種)の患者さんがとても多いのですが(全国から)、その治療中に鼻の横のカサカサや痒みがすっかりなくなることにある日気づきました。

 

もしかして鼻の横のカサカサは脂漏性皮膚炎ではなく口囲皮膚炎の一種なのでは?従来から言われているマラセチア(皮膚に常在するカビの一種)が関わっているんじゃなくて他の細菌が関わっているんじゃ?

 

と考えるようになり、それ以降、鼻の横のカサカサ、痒みには抗菌剤を中心とした口囲皮膚炎と同じ治療を開始しました。

 

そうしたらこれまでニゾラールのような抗真菌剤を使ってもなかなか治らず治療にとても苦労していた鼻の横の痒み、カサカサがどんどん治ります。大体2週間から4週間ですっかり治ってしまいます。

 

どの細菌が関わっているのか、あるいは本当に細菌が関わっているのかどうか、詳しいことは証明はできていませんが、鼻の横の痒みやカサカサにはステロイドやニゾラール処方では繰り返すばかりで治らない、しかし口囲皮膚炎だと考えて抗菌剤で治すのが早道だ、ということがわかりました。

 

最後の項目、「鼻の下が赤い」の治療法ですが、赤色というのは人間の体の場合「血液の色」です。つまり赤いというのは血液を通す血管が多いということ。

 

鼻の下の赤みの正体は毛細血管です。

 

毛細血管は外用剤では消えません。器質的なものですから破壊しないと治りません。壊すには血管用のレーザーが必要です。

血管に効くレーザーは色々ありますが、通常はVbeam(ブイビーム)という血管専用のレーザーを用います。しつこい場合はロングパルスYAGレーザーを用います。

 

レーザーを照射すると血管は皮膚内部で焼け、消失します(基本表面にはダメージがありません)。しかし、血管は生き物と同じで、またすぐに新生され立ち上がってきます。レーザー照射は大変有効ですが照射をやめると再発しやすいのが「鼻の下の赤み」の特徴です。

 

ですから鼻の下の赤みは治療が可能であるが再発しやすいことを理解し、再発することを前提で治療に臨むことが大切です。

 

 

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