院長ブログ
2022.04.03
診療室から
ステロイドが効かない、治らない股間の痒み。
男性でも女性でも一定数悩みがある股間の痒み。
単なる湿疹から白癬(水虫)、脂漏性皮膚炎と言われるものまであります。
教科書を見ると、やれステロイドだ、抗真菌剤だのが有効と書いてあります。
陰部の痒みの中には紅色陰癬といって細菌が関わるものもあり、抗生剤軟膏が有効な場合もあります。
疥癬虫なんていうダニがいることも。こちらは殺虫剤が必要です。
僕も開業したばっかりは教科書に忠実に治療していましたが、股間のかゆみについてはうまくいきませんこと!
いろいろな治療をやってみましたが、ざっくり書きますと、
男性の場合、「陰嚢」の痒みには基本ステロイドが有効です。陰嚢は体温が周囲より低く、白癬(水虫)が繁殖しにくく白癬にはなりません。陰嚢の痒みに自分で抗真菌薬(水虫薬)を買って塗っている人がいますが、まず誰も治りません。白癬いませんから。
ですので陰嚢には基本ステロイドが有効です。
一方で厄介なのが足の付け根の痒み。詳しくいうと鼠径部から大腿にかけての痒みです。
ステロイドがよく効く単純性湿疹や明らかに白癬(水虫)が検出できるものは1本の軟膏で簡単に治って良いのですが、
ステロイドも抗真菌剤もうまく効かない股間の痒みを外来でよく拝見します。
治らない股間の痒みに困ってしまってあちこちさまよった上、当院まで来られる方も多くいらっしゃいます。
僕は開業後から、ステロイドも抗真菌薬もうまく効かない股間の痒みがあると気づいて以来、かなりの数のトライ&エラーを行いまして、現在ではほぼこれが効くという処方にたどりつきました。
内容はここでは書きませんが、あっちやこっちのお薬を混ぜ混ぜして処方するとあら不思議。あんなに治らなかった股間の痒みがウソみたいに止まります。軟膏治療は組み合わせの妙があって面白いですね。
軟膏の混合処方は勧めない、みたいなことを意固地に主張する医師もおりますが、意地をはって効かない処方をしても意味がないので、効くなら混合処方もアリでしょう、とは思います。
さて、僕がこの処方にたどり着いてからは治らない股間の痒みが「ほぼ1発」で治るようになり、(僕の)外来ストレスも軽減。僕も患者さんもwinwinです。
ちなみにこの処方、脇の痒みやバストが大きい女性の胸の下の痒みにも大変有効です。
これから夏に向かっていきますので汗やら何やらで股間の痒みに悩む方が多くなります。
治らない股間の痒みにお悩みでしたらぜひご相談ください。
※すっかり忘れていましたが、4月から開業20年目になりました。まだまだ良い治療を探して前向きに頑張ります!
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