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院長ブログ

2021.11.06

アトピー性皮膚炎

新しい重症アトピー用の内服薬リンヴォック。中学生以上のひどいアトピーに有効です。

ここのところ何回か書かせていただいたのですが、すでに成人の重症アトピー性皮膚炎の治療薬はかなりの数が揃ってきています。シクロスポリン内服、デュピクセント注、オルミエント内服等々。

 

重症アトピー性皮膚炎においてはこれらの薬剤を使いますとほとんど外用がいらなくなるレベルまで症状が軽減します。まさに科学の勝利。

 

前にも書いた通り現代のアトピー治療においては、その昔流行っていたようなアレルギー対策グッズ、漢方、脱ステロイド療法、SOD食品等々こういうものは全て必要でなくなるのです。しかも保険適応の治療が可能です。

 

もうアトピービジネスといった言葉は死語になるのでしょうね。

 

ところが成人の治療は良いとしても、小児の重症例の薬はまだ満足なものがありません。

 

アトピーはあちこちめちゃくちゃ痒いのが困ったところなのですが、小児に使える痒み止めは今でも普通の抗ヒスタミン薬だけです。これがまたほとんど効きません。アトピーの痒みに抗ヒスタミン薬が効くのはまれ、効いたとしてもほんの補助程度なものです。

 

子供の治療はまだまだだなあと思っていた矢先、先日12歳から使える重症アトピー用の内服が発売されました。「リンヴォック」。

ご覧の通り、内服薬です。元々は関節リウマチのお薬だったものですが、アトピー性皮膚炎の治療にも高い効果があるとして12歳以上の重症アトピー性皮膚炎に適応追加となりました。

 

当院にも中学生でどうしようもなく悪化を繰り返す患者さんが複数います。小さい頃から面倒見ている子の一人に一度やってみないかと声をかけましたら親御さんが快く承諾してくれました。

 

許諾を得ていませんので症状のお写真はありませんが、概略を書きますと、当該患者さんは全身にざらざらとした皮膚炎があります。顔から足先まで全部です。いつもぼりぼり掻いていて、皮膚はいつも荒れています。外用はもちろんステロイド。外用で多少綺麗にはなりますが痒みが取れません。これは幼児期からずっとです。抗ヒスタミン薬はほとんど効果がありません。顔はいつもバサバサしている印象です。

 

リンヴォック投与開始後2週間が経過しました。

 

本人はお年頃であまりしゃべりたがらないのでご両親からの言葉ですが、まず痒みが数日で止まったのがわかった。下腿のざらざらした皮膚炎が数日で綺麗になった。他のお薬は飲むのを嫌がるのにこの薬は自分から飲むと言ってくれる。

 

だそうです。もちろん皮膚も触って診察しましたがざらざらしていた皮膚はすべすべになり、軽い乾燥症状のみとなっていました。

 

これはイケます。これで重症アトピーの中学生はみんな改善できるようになるんだ、というしっかりとした手応えを感じました。

 

副作用で気をつけないといけないのは感染症へのリスクが少し上がること。特に帯状疱疹への注意が必要なようです。あと稀なもので強い腹痛等々。

 

投与前にはレントゲン撮影が必要であったり採血が必要であったりします。治療費は3割負担の方ですとかなり高額になってしまいますが、愛知県では中学卒業まで医療費無料の市町村がほとんどですので治療費は0円で済みます。

 

新しい内服薬「リンヴォック」。12歳以上で(特に中学生)でひどいアトピーでお悩みの方には朗報です。重症アトピーで困っている方がいらっしゃいましたらぜひご相談くださいませ。

 

 

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