今日も咲くらで

院長ブログ

2021.05.17

診療室から

中日新聞夕刊の記事から。みんなで考えてみましょう。

【独自】接種予約開始前に仮押さえ 刈谷の医院、通院患者の一部に
2021年5月16日 02時00分 (5月16日 11時31分更新)
新型コロナウイルスワクチンの個別接種を巡り、一部のかかりつけ医が、定期的に健康状態を確認している患者に限定して自治体が定めた予約開始日より前に仮予約を受け付けている事例があることが、関係者への取材で分かった。
六十五歳以上の高齢者約三万二千人を対象に十七日に予約が始まる愛知県刈谷市では、少なくとも二つの医院が仮予約を受け付けていた。本紙の取材に、双方の院長が、患者を診察した際に「ついでに受け付けた」と話した。
市は十五日、両医院に仮予約の取り消しを求めた。市保健センターによると、十二~十四日に「十七日から予約開始ではないのか」などの苦情が計十五件寄せられていた。市は十三日、予約開始日を守り、公平な接種を求める通知を地元医師会を通じ、加盟する全医療機関に出した。十五日にも「予約の取り消しも含め、是正を求める」と通知。その上で二医院には直接、電話で対応を要請したという。

新型コロナウイルスのワクチン接種について伝える刈谷市のホームページ
「まだ予約はできません」。刈谷市のホームページでそう記されている中、医院は六十五歳以上の高齢者の個別接種の予約を実質的に始めていた。不公平感が拭えない一方で、仮予約を受け付けた市内の男性院長は「基礎疾患を持つ患者は重症化リスクが高いだけに、早めに打つべきだと判断した」と明かす。
既に百人程度の仮予約を受け付けていたこの男性院長は「十七日から予約を受け付け、一週間後に接種開始では人員や態勢を整える時間がない。スムーズな接種を行うには、早め早めの事前の準備が必要だ」と説明する。通常の診療業務の合間にワクチン接種も担う。「インフルエンザのワクチンでも電話がパンクした。その経験を生かし、むしろ医院内の混乱を回避するための措置」と理解を求めた。
医療現場には現在、行政が決めた枠組みでは業務が進まないほど逼迫(ひっぱく)した事情もある。ただ、重い基礎疾患を持つ数人程度の仮予約を受け付けた市内の別の男性院長は「公平性に欠けるとの指摘はもっともだ」。市が十三日に通知を出して以降は新たに仮予約を受け付けていないという。 (角野峻也)

 

 

というニュースがありました。昨日夕刊より。

まだ公式にワクチンの受付を始めていないのに医院が勝手に仮予約を始めた、というのが問題視されているようです。

 

みんな順番を守ってるんだから抜けがけは許さん、という雰囲気が記事から伝わってきます。もはや戦時中のような様相。

 

ワクチン対象の高齢者の中でも、糖尿など重い持病がある、目が不自由な人、難聴の人、痴呆の人、知的な問題でとても予約ができそうにない人、独居の人、貧困の人等々、色々な社会的弱者がいます。おそらくこちらの先生はそういう人を先に打ってあげようと事前に「仮予約」としたと想像できます。いわゆる医師の裁量で、というやつですね。

 

医療の現場には常に弱者の存在があるんだということを忘れて、世間の常識に当てはめてなんでもかんでも「公平」という言葉で括ってしまうのはよろしくないように思います。

 

不正を見つけたと言わんばかりにわざわざ記事にして吊し上げて皆の怒りを増幅させたい意図でもあるのでしょうか。

 

我先にワクチンを打ちたい気持ちはわかりますが、ギスギスした心は脇に置いといて少し優しい気持ちを持ちたいと思うのです。

 

ニュースから感じたことでした。

 

 

 

 

 

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