院長ブログ
2019.02.16
ヒアルロン酸
診療室から
しわたるみの治療に非吸収性の充填材はよくない。
咲くらクリニックでは皮膚のたるみや若返りのためにヒアルロン酸注入を数多く行っています。
ヒアルロン酸は基本的に体内で分解され、自然に吸収されて行くものです。効果は長くて1.5年から2年程度です。
ヒアルロン酸注入はいずれ吸収されてなくなるのですが、吸収されることを嫌う人向けに非吸収性の製剤(アクアミド等)を顔面などに注入しているクリニックがあるそうです。
「永久に長持ち」という触れ込みです。
効果が長持ちだとコスト的にはなんだか良さそうです。
しかしよく考えてみてください。今のお顔が20年、30年と変化しないでしょうか?
年をとれば次第に皮膚は薄くなり、皮下組織も減少します。骨も痩せてきます。それなのに永久に吸収されないものが皮下に埋め込まれてあったらどうなるでしょう?
軟部組織は年齢とともに痩せてきますので非吸収性の製剤が皮下に存在するとその部分はでこぼこに目立ってくることが予想されます。
アクアミドはヒアルロン酸とは違って注射で分解ができませんからでこぼこを修正しようとすれば必ず外科的摘出になります。
その昔、オルガノーゲンという非吸収性の注入剤での豊胸手術が流行りました。しかしその結果は悲惨なものでした。多くの人に異物反応が起き、硬結、発赤、変形、疼痛が頻発したのです。
オルガノーゲンは俳優・宍戸錠さんの頬に注入されていたことでも有名です。彼も年をとってきたからという理由で外科手術で取り除きました。
非吸収性の製剤を注入する方法は将来生体がどのように反応するかを予想することが難しく、またトラブル時の対処法は外科的手術しかないことを考えると安易に飛びつかない方が賢明かと思われます。
僕の外来でよく言っているのですが、美容治療はなるべく戻れる、戻せるものを選択してくださいね、とお話ししています。
10年以上長持ち、減らない、このような甘言には惑わされないように。
しわ、たるみ治療の注入剤を選ぶのであれば国内承認品をお勧めします。
もちろん私たちの使用しているヒアルロン酸(アラガン社製)は厚労省からの承認を受けた、安全である、と証明された製剤です。
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