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院長ブログ

2015.11.14

アトピー性皮膚炎

アレルギー

赤ちゃんの湿疹はアレルギー疾患の元

覚えておられますでしょうか?

 

ちょっと前に話題になりました、「茶のしずく石鹸」事件は、

石鹸に含まれた小麦成分が洗顔により皮膚から入り込んでアレルギーを起こしてしまい、やがて小麦を食べた時にも重篤なアレルギー症状を起こす、という事案でありました。

このことから多くの皮膚科医は食物アレルギーは食べて起きるだけでなく、経皮感作(皮膚から入ること)でも起きることに気づきました。

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この事件をきっかけに注目されたのが食物アレルギーの経皮感作説です。

 

 

0歳児の血液検査で食べてもいない卵のアレルギーが検出されるのはなぜか?

 

 

この事件までは母親の食べたものが乳となって出てきて、それを飲んだ乳児がアレルギーを起こすものと考えられていたのですが、

現在は、


湿疹を起こしているような荒れた皮膚から食物の成分が入り込み、それを体がアレルギー物質として認識し、食べてもいない食物アレルギーが発症した可能性が高い、と考えられています。

 

つまり、

お世話をする人の手についた食物成分や床に落ちた食物成分が荒れた皮膚から入り込み、アレルギーとして認識され、食べてもアレルギーを起こす可能性があるというわけです。

アメリカではピーナッツアレルギーが多いのですが、
ピーナッツアレルギーを起こしている患児の家庭の床からは高頻度でピーナッツのアレルゲンが検出された、との報告があります。

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対策としては、


乳児(0歳)の湿疹は放っとかない、湿疹を見つけたら徹底的に直すという作業が必要です。

 

学会では、2ヶ月児の湿疹をたった数ヶ月治療しないでおいただけで6ヶ月時には食物アレルギーを発症してしまった、との報告がありました。

一方、生後2ヶ月児くらいから湿疹を徹底的に治療した群では6ヶ月時でもほとんど食物アレルギーは検出されなかった、とあります。

まだ詳しくわかっていないことはたくさんあるのですが、

 

乳児の湿疹はしっかり治すことが重要です。

湿疹と乾燥肌の見分け方は前にも書きましたね!

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もちろん湿疹の治療にはステロイドをがっちり使います。

 

ステロイドの副作用が気になりますか?

 

乳児の治療にはそれほど強いお薬が要りませんので、これまで私たちの施設では12年間、外用剤での重大な副作用を見たことがありません。

 

外用剤の副作用リスクを心配するよりも、

外用剤をいやがることで将来重篤なアレルギー疾患にかかってしまうリスクがある、ということを心配したほうが良いです。

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